こんにちは。
賃貸併用住宅サポートの白岩貢事務所の矢島です。
この記事では賃貸併用住宅の建築や維持費に関するコストについてまとめてみました。さらに一般的な意見だけでなく、60世帯大家であり、400棟以上の新築賃貸物件をサポートしてきた白岩貢のアドバイスも載せています。
賃貸併用住宅にご興味がある方、賃貸併用住宅の存在を初めて知った、これから家を建てようと考えている方はぜひご参考ください。
目次
賃貸併用住宅は、一般住宅と比べて建築費や維持費が異なる点がいくつかあります。まず、建築費においては、賃貸部分を含むため、通常の住宅に比べて規模が大きくなり、その分コストも増加します。
賃貸スペースに求められる防音性や耐久性を考慮した設計・建材の選定が必要となり、これが追加のコストを伴うことがあります。また、設備費も多くの居住者が使用するため、耐久性の高いものや共用部の設備を充実させる必要があります。
一方、維持費に関しても、賃貸部分の修繕や管理が定期的に必要となり、これが追加の出費となります。
例えば、共用部分の清掃や修繕費、入居者の募集・管理にかかる費用などが一般住宅にはないコストとして発生します。また、賃貸収入を得ることができるため、住宅ローンの返済負担を軽減できるメリットもありますが、賃貸部分が空室になった場合のリスクも考慮しなければなりません。
賃貸併用住宅では、通常の住宅に比べていくつかの特別な建築費用が発生します。
まず、複数の玄関が必要となる点です。住居部分と賃貸部分を分けるため、それぞれに専用の入口を設ける必要があり、これが追加の設計・施工コストにつながります。
また、賃貸部分同士や自宅部分との間には防音性やプライバシーを保つための壁や床の強化が求められ、これも建築費用に影響を与えます。
さらに、賃貸部分にはそれぞれの専用の設備が必要です。自宅としてなら1つで済むキッチンやバスルーム、トイレ、給湯設備など、各部屋ごとに設置されるため、通常の住宅に比べて設備費用が増加します。
例えば、キッチンには基本的な調理設備が求められ、バスルームやトイレも各賃貸ユニットに設置する必要があります。また、賃貸住戸ごとにエアコンや給湯システムなども取り付けるため、これらの費用が総工費に上乗せされます。共用スペースの設置やその維持管理も考慮する必要があります。
賃貸併用住宅では、賃貸部分と自宅部分の音漏れを防ぐための防音施工やプライバシー確保が重要です。
音漏れを防ぐために、壁や床には防音材を追加する施工が必要であり、特に隣接する壁には通常の住宅よりも厚い断熱材や防音シートが使用されることがあります。また、天井や床にも防振施工を施すことで、上階や下階の生活音を軽減することができます。
プライバシーの確保に関しては、動線の分離やエントランスの設置場所に配慮した設計が求められます。これにより、自宅と賃貸部分が完全に分離された空間を提供でき、居住者双方にとって快適な生活環境を作り出すことが可能です。これらの追加の設計・施工費用が、賃貸併用住宅特有のコストとして発生します。
賃貸併用住宅の建築費用には、さまざまなコストが含まれます。まず、設計費は建物の設計やプランニングにかかる費用であり、建築規模や仕様に応じて異なります。
次に、建築費には建物そのものを建てるための材料費や人件費、施工管理費が含まれます。さらに、建築を進めるために必要な許可申請費用や、各種検査にかかる費用も発生します。
費用感については、建物の広さや構造、使用材料によって変動します。例えば、木造住宅に比べて鉄筋コンクリート造の方が建築コストは高くなりますし、高品質な断熱材や防音材を使用する場合も費用が増加します。
賃貸併用住宅の場合、賃貸部分の設備や防音対策などにかかる追加コストも考慮しなければなりませんが、白岩貢事務所でサポートしている物件を参考にすると、4000万円〜4500万円程度になっています。
ちなみに白岩貢は賃貸併用住宅は木造を推しています。理由としては、鉄骨造や鉄筋コンクリート造ですと、建築費用がは値上がり、賃貸併用住宅の活用がしづらいと考えているからです。
また、木造の方がリフォームやリノベーションが楽ですし、マイホーム用地として売るときも解体費用が安く済みます。
賃貸併用住宅の維持管理には、建物全体のメンテナンス費用が定期的に発生します。例えば、外壁の塗装や屋根の修理は、10~15年ごとに必要とされ、これには数十万円から数百万円の費用がかかる場合があります。また、共用部分(エントランスや廊下など)のメンテナンスも重要で、清掃費や照明、エレベーターなどの設備維持費が発生します。
さらに、共用部分の電気や水道費も、賃貸部分と自宅部分の両方で使用されるため、定期的なコストとなります。
賃貸部分の入居者が退去する際には、原状回復費用が発生します。壁紙の張替えや床の修理など、退去時の状態によっては数万円から数十万円の費用が必要となります。
また、設備の故障や経年劣化による交換費用も避けられません。キッチンやバスルームの設備が壊れた場合には、修理や交換の費用が発生し、これも数万円から数十万円の範囲で見積もる必要があります。特に、エアコンや給湯設備などの大きな設備は長期的に見て修繕や交換が必要になることを考慮しておくべきです。
賃貸併用住宅の維持費は、賃貸部分から得られる家賃収入によって大部分をカバーすることができます。
適切に管理されている場合、家賃収入によって修繕費やメンテナンス費用を補い、実質的な負担を軽減することが可能です。
例えば、家賃収入が月々の維持費を上回る場合、その余剰分は住宅ローンの返済や他の経費に充てることができ、家計への圧迫を抑えることができます。
賢い管理方法としては、空室リスクを低減するために定期的なメンテナンスや入居者対応をしっかり行い、また、長期間にわたって入居者を引き付ける魅力的な環境を整えることが重要です。
維持費用は賃貸併用住宅だけでなく一般住宅でも基本は同じになります。15年程度経てば外壁塗装をしますし、給湯器などの交換、古くなってくればリフォームしたりしますよね。
賃貸併用住宅は一般住宅よりは費用はかかりますが、毎月の家賃がその維持費も賄ってくれます。
賃貸併用住宅の維持費を抑えるためには、エネルギー効率の高い設備を導入することが有効です。例えば、電気代や水道代の節約を目指して省エネ設備を導入する際には、初期コストがかかるものの、その後の維持費削減効果は大きいです。
具体的には、LED照明を使用することで電気代を大幅に削減でき、さらに寿命が長いため交換費用も抑えられます。また、ソーラーパネルの設置は、日中に発電した電力を賃貸部分や共用部分で使用できるため、電力コストを減らすことが可能です。
これらの設備を導入することにより、長期的には維持費を低減できます。ただし、何でもかんでも取り入れると初期費用やメンテナンス費用が高くなりますので、その辺りのバランスをしっかり考えてください。
賃貸併用住宅では、定期的なメンテナンスを行うことが長期的なコスト削減に大きく貢献します。建物や設備の劣化を放置すると、後々大規模な修繕が必要になり、その際に高額な費用がかかることがあります。
例えば、外壁の小さなひび割れを早期に修繕することで、大規模な修繕工事を防ぐことができ、結果的に修繕費用の節約につながります。
また、定期点検を行うことで、設備の不具合や劣化を早期に発見できるため、故障による大きな出費を回避でき、長期的に見て住宅全体の維持費を抑えることができます。計画的なメンテナンスを心がけることで、建物の寿命を延ばし、無駄な出費を抑えることが可能です。
賃貸併用住宅を建築・運営する際には、初期建築費用と長期的な維持費のバランスを慎重に考慮することが重要です。
初期の建築費用を抑えるために、安価な建材や設備を選択すると、後々の維持費が増加するリスクがあります。一方で、耐久性や省エネ性能の高い設備を導入することで、長期的に見て維持費を抑えられる可能性が高まります。
このように、建築時には短期的なコスト削減にとらわれず、将来的な維持費を見越した投資が必要です。
また、賃貸併用住宅には節税効果が期待できる点も見逃せません。賃貸部分の建築費や維持費は、経費として計上できるため、税負担を軽減することが可能です。
さらに、賃貸部分からの家賃収入を活用して、ローン返済やメンテナンス費用を補うことで、収益を最大化しつつコストを最小限に抑える運営戦略を取ることができます。
特に、安定した入居者の確保と適切な物件管理を行うことで、空室リスクを軽減し、長期的な運用を成功させることが鍵となります。
これらを踏まえ、最適な資産運用のためには、建築時の投資と運営中のコスト管理のバランスを取り、賃貸併用住宅が安定した収益を生み出すような計画的な運営が重要です。
賃貸併用住宅は自宅でもあり、賃貸経営という事業でもあります。
会社として考えるとわかりやすいですが、社員の給与を上げたり福利厚生を整備するのはとても大切です。しかし、それが経営を圧迫してしまったはダメですよね。もちろん、逆もダメ。
初期費用と維持費の関係、それらをうまくバランスをとりながら、入居者に入ってもらい、快適に住んでもらうことが賃貸併用住宅経営の努めです。
これらを最初から理解するのは、むずかしいかもしれませんが毎月賃料を払ってくれる入居者の方が、気持ちよく住めるように、お互いwin-winの関係になることを考えれば良いのです。
白岩貢事務所では、賃貸併用住宅に関する個別相談も行なっております。